ベスト？２０年の軌跡 tuml＝lebn

1986年のニューヨークのイースト・ヴィレッジで結成されたザ・クレズマティックスは、20年前のベルリンでの衝撃的なコンサートから、 世界20カ国に及ぶツアーとPIRANHAレーベルからの6枚のアルバムを制作、ユダヤの伝統的な音楽であったクレズマーを世界中に知らしめました。元々、クラリネットとヴァイオリンを中心に、6人程度の小編成のバンドで繰り広げられるスピーディなダンス・チューンがクレズマーの特徴ですが、ザ・クレズマティックスは多民族都市ニューヨークというバックグラウンドから、単なるユダヤの祝祭的な音楽の要素に、ジャズやパンク・ロック、アフリカン、アラブ、バルカンのリズムを幅広くまでないまぜにした独自の音楽世界を作り出しました。彼らがこれまでに共演したアーティストは、ビート・ジェネレーションのアイコン、アレン・ギンズバーグ、20世紀最高のヴァイオリニストの一人、イツァーク・パールマン、鬼才マーク・リボー、ジョン・メデスキー、イスラエルのSSW、ハヴァ・アルベルスタイン、ウディ・ガスリーの息子にしてSSWとして絶大な人気のアーロ・ガスリーなど、多方面に枚挙にいとまがありません。また最近では日本でも人気のドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」の中で曲が使われたことも話題になりました。2006年にはアルバム「ワンダー・ホイール」(ウディ・ガスリーの詩に曲をつけた) がGRAMMYのベスト・コンテンポラリー・ワールド・ミュージックを獲得しました。日本でも梅津和時（こまっちゃクレズマ）を筆頭にクレズマーを演奏するミュージシャンも増え、ジャンルとして認識の高まっています。
本作は、20年というキャリアに育まれた、スピーディなダンス音楽と切ないバラードがちりばめられた、宝石箱のようなアルバムです。