スペクトル・オブ・パラダイス（生産限定紙ジャケット仕様） SPECTRE OF PARADISE

■＜エバンフロ＞は、ウィリアム・リーディとスーザン・スミスからなる男女のギター＆ヴォーカル・デュオ。本盤はアメリカで80年にリリースされた唯一のアルバム。ふたりのギターとヴォーカルを軸にしたシンプルなプロダクションながら、フォークやシンガー・ソングライター・アルバムの意匠を借りて、そこにジャズやクラシック、さらにラテンのテイストも加えて、まったくオリジナルな音楽を創り上げている。アルバムをとおしてラテン風味のジャジーなニュアンスをいかした心地よいアコースティック・ナンバーが目白押し。ナイロン弦特有のパーカッシヴな高音を生かし、ピアノ風の繊細なタッチやニュアンスが、ナチュラルなメロディと共に爽快な朝のような清々しい開放感を生みだしている。そんなギターにコンガとフルートが優しくからみつく[1]。続く[2]ではリード・ヴォーカルがスーザンに代わり、さらに [3]ではリーディのリード・ヴォーカルに、スーザンがバックにまわっている。それぞれのシンガーとしての個性が一緒に溶け合うことによって、また別の魅力となってあらわれる。軽快な曲が多いなか、スーザンがリードを取る[6]でのアシッド・テイストが妖しく異彩を放つ。アルバムのハイライトともいえるワルツ風の[8]にフィーチャーされたギターは、デヴィッド・フリーゼン（ベース）との共演でも知られるジャズ・ギターの名手ジョン・ストーウェルによるもの。現在ウィリアムは、ワシントン州イーストヒル地区の丘陵地帯に＜アコースティック・チェンバーズ＞というレコーディング・スタジオを運営、ローカルなシーンでいまも精力的に活動をつづけている。