ディープ・シーカー DEEP SEEKER

■シューゲイザー（Shoegazer）
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドに代表される60年代の曖昧で気怠いサイケデリアを新構築／継承したシューゲイザーシーンは1980年代後半から1990年代前半に全盛を極め、シーンの先駆けとなったジーザス&メリーチェインに始まり、シューゲイザーというジャンルの確立を決定付けたマイ・ブラッディ・ヴァレンタインの金字塔的名盤『LOVELESS』によって帰結。徐々にムーブメントは幕を閉じていったが約15年の時を経て、近年シューゲイザーが再評価され始めている。特にテクノから派生したエレクトロポップが合流した轟音ラップトップサウンドは新機軸を打ち出し、ネオシューゲイズなどと呼ばれ、凄まじい勢いで同じ想いに立つシューゲイザー新世代が世界同時化学反応かと思う程に目まぐるしく登場し始めるのである。
＊うつむいてギターを演奏する姿が、靴(Shoe)を凝視(Gaze)しているようなところからシューゲイザー(Shoegazer)と名付けられた。

■LUCY'S DRIVE / DEEP SEEKER
プレイボタンを押すといきなり天まで飛翔してしまいそうなフィードバック乱気流に魂が踊る。注目すべきはダンスミュージックへ対するアプローチがストレートに盛り込まれていること。特にそれが顕著なのがハウス風に打ち込みされたInside Noiseだ。これこそ様々なカルチャーケミストリーを泳ぎ渡ってきたシューゲイザーによるクラブDJへのオマージュだと感じたし、個人的には斬新さと切れ味を併せ持ったハイライトナンバーだと思う。また、ビックリしたのがジェイムス・イハのカヴァー、Be Strong Now。ジェイムス・イハ独特の愛らしいメロディを煌めきのシャワーの洪水でコーティングしたこの一曲は、まるでルーシーズのオリジナルと思い込んでしまう位の傑作に仕上がってしまっている。

TEXT by DJ chicchi (bluestars night)

■中村雄一 Profile
1992年、LUCY’S DRIVE（担当：Vo & G）を結成。ビクターＡjaレーベルより『LUCY'S DRIVE ep』をリリースする他、いくつかのオムニバスアルバムに参加。当時のマンチェスター、シューゲイザー・ムーヴメントに強く影響を受けたサウンドは、日本における（UK的）ギターロックシーンの基盤を創る。
1995年、LUCY’S DRIVEを休止、ゼペット・ストアに加入。ユニバーサル・ビクターよりデビューし、以降13枚のシングルと11枚のアルバムをリリースの後、2005年解散。
2007年、LUCY’S DRIVEを再始動する。

http://www.myspace.com/lucysdrive　　
http://lucysdriveinn.air-nifty.com/blog/