ビー・サンクフル・フォー・ワット・ユー・ゴット BE THANKFUL FOR WHAT YOU GOT

■本盤は、1974年に発表されたシンガー・ソ\\ングライター、ウィリアム・デヴォーンの大傑作！　ノーマン・ハリス（ギター）、アール・ヤング（ドラム）、ロン・ベイカー（ベース）、ヴィンセント・モンタナ（ヴィブラフォン）といったMFSBの中枢を担う猛者たちをバックに従え、シグマ・スタジオで吹き込まれたこのアルバムが世紀の名盤として語り継がれるゆえんは、あるナンバーが収められていることにある。そのトラックは「Be Thankful For What You Got」。本作のタイトルにもなっている同曲はリリース当時、アメリカ国内のチャートにもランクインするほどのヒットを記録した。暖かく包み込むような魅力に溢れたシンセや切なく響くカッティング・ギターに誘われて、デヴォーンが切々と歌うこのナンバーがこれまでに多くのひとの心を動かしてきたのは、マッシヴ・アタック、オマー、シャインヘッド、クリーヴランド・ワトキッス、ヨ・ラ・テンゴなどがカヴァーに取り上げていることでも実証済み。またR&Bのグループ、ワン・トウェルヴの「Everyday」でサンプリングされていたり、スヌープ・ドッグ主演の映画『Bones』のサントラに所収されているのを知る方も、決して少なくはないハズ。そのほか、「Be Thankful?」パート2といった趣を湛える「Blood Is Thicker Than Water」の素晴らしさも特筆に値するだけに、このアイテムを「一家に一枚」的定番と称するのに異論の余地はないだろう！ちなみに、ガラージ・アンセム「Bourgie Bourgie」の生みの親ジョン・デイヴィスがプロデュース、アレンジ、指揮を手掛けているのも、ココにつけ加えておきたい。

■ジャズ、ソウル、R&B、ヒップホップ、レゲエ、ロックなど、あらゆるカテゴリーのクリエイターたちが「Be Thankful For What You Got」のカヴァーにトライしたり、同楽曲をサンプリングしていることから、本盤がすべてのクラブ・ミュージック・ラヴァーにとっての超スタンダード・アイテムとなりうるのは間違いないだろう！

■解説：北浦知司