ミュージック・ライフ MUSIC LIFE

フランス海外県マルティニーク出身のギタリスト/作編曲家、Franck Donatienを中心に1980年代に結成された、マルティ二-クの8人組バンド、クリスタルが1984年に自主制作で残した幻クラスのお宝盤が、銀盤化。それぞれ卓越した技量を兼ね備えた8人のミュージシャンが生み出すそのサウンドは、欧米のソウル/ファンク・ミュージックの影響下にありつつも、マルティニーク、カリブの伝統的なリズムをベースに奏でられる、カリビアン・ソウル、ディスコ/ブギーとでも言うべき希有なサウンドで、男女のヴォーカルが楽曲によって入れ替わり聴かせる、その圧倒的なクオリティは一聴で肌に伝わります。

骨太のリズムがダンサブルなカリビアン・ブギー「01.Music Life」、印象的なシンセの音色の中毒性が高いラテンダンサー「04.Santo Domingo」辺りの程よいクロさを感じさせる楽曲、軽快なスキャット・フュージョン「02.Nostalgie」、哀愁たっぷりのメロディが絶品の歌モノ「03.Ti Gacon」(スキャットも格好良い)など、非常にクオリティの高い楽曲だけが並びますが、極めつけはそのメロウネスを極めた「05.Lan Mise」、「06.Fantastic Girl」の2曲。前者は、小気味良いカッティングギターとフルートが絡むイントロから鳥肌モノのカリビアン・ソウルとでも言うべき名曲で、程よく弾むリズムも唯一無二の逸品。高揚する曲調も感動的。同じくよりアップテンポな後者も、軽快なカッティングギターとグッと心に響くスキャットがドラマチックな、カリビアン・フリーソウルとでも表現したくなるようなダンサーで、驚愕のクオリティ。まさに、驚きの内容と言えるでしょう。

プロダクション・デシネでは、ピエール・マイゼロワを筆頭に、ヴィクトール・サヴァス・カルテット、フランキー・ジヴァゴ、アンリ・グェドンなど、幻クラスのカリビアンの秀作達を発掘し、正規復刻して来ましたが、本作は、その極めつけとでも言うべき逸品です。本作の復刻に際しては、その複雑な権利関係から多大な時間を労力を要しましたが、遂に、遂に、正規復刻です。恐らく、全く知られていない作品ですが、その内容の真偽は、是非一度実際にお試しの上、ご判断下さい。

クリスタル (Crystal)：
フランス海外県マルティニーク出身のギタリスト/作編曲家、Franck Donatienを中心に1980年代に結成された8人組バンド。マルティニーク、カリブの伝統的なリズムをベースに、欧米のソウル/ファンク・ミュージックの影響を感じさせるカリビアン・ソウル、ディスコ/ブギーと言うべき希有なサウンドを奏でる。ライブ活動を中心としたセッションバンド的な存在だった為か、その活動期間は僅か6ヶ月程度と、幻のバンドとなった。バンドのメンバー達は後には、マラヴォワやカッサブなど、当地を代表するメジャーバンドの中核を為すメンバーとなる。