Blog by 福田直木

福田直木『CROSSOVER LABORATORY』

ジェイ・グレイドン特集

こんにちは。
ブルー・ペパーズの福田直木です。
僕がFMヨコハマからお届けする『CROSSOVER LABORATORY』
いつもお聴きいただきありがとうございます。

この番組では70年代から80年代に流行した豊かな音楽、AORやクロスオーバー、フュージョン、ブラックコンテンポラリーなどから僕がお気に入りの曲をピックアップして、その聴きどころなどをご紹介しています。

このブログでは番組でご紹介した作品を再度ピックアップしてお届けしています。

今回はギタリスト、ジェイ・グレイドンを特集します。

★Holdin’ On To Love
Jay Graydon / Airplay for the Planet / 1993 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェイ・グレイドンといえば、エアプレイの片割れとして、セッション・ギタリストとして、作編曲家として、プロデューサーとして、AORを語る上で絶対に外せない最重要人物のひとりですよね。
純粋なソロアルバムとしてはこれが1枚目で、ボーカルには曲ごとにビル・チャンプリン、TOTOのジョセフ・ウィリアムス、ウォーレン・ウィービーなど豪華ゲストを招いて制作されているんですけど、僕のお気に入りは今お聴きいただいた「Holdin’ On To Love」ですね。なんといっても、ジェイ本人のギターソロがかっこいいです。ちなみに、このアルバムは全体を通してドラムが打ち込みなのですが、ジェフ・ポーカロに頼む予定で彼が前年に亡くなってしまったのが原因だとか。
というワケで、今回はジェイ・グレイドンのギターソロが聴ける曲を集めてお送りしていこうと思います。

★Good To Live
Monkey House / Left / 2016

 

 

 

 

 

 

 

 

ギターソロを弾いてるのは、これまたジェイ・グレイドン先生です。近年のギターソロの中では最も冴えてるプレイじゃないかなーと思います。
モンキー・ハウスというのはカナダの音楽プロデューサー、ドン・ブライトハウプトによるセルフプロジェクトで、お聴きいただいてわかる通り、スティーリー・ダンに強い影響を受けた、というか、モロなオマージュなんかをやっている面白いアーティストです。
ドン・ブライトハウプトはスティーリー・ダンの『Aja』の解説本の著者でもあってね、相当なオタクで、僕も「スティーリー・ダンっぽい作曲技法」みたいなものを身につけようと思っていた時期はモンキー・ハウスの作品もよく聴いて研究しましたね(笑)
春には『Friday』という新作が出るらしいので、今からとても楽しみにしてます。


★The Cabo Cad

JaR / Scene 29 / 2008

 

 

 

 

 

 

 

JaRというのはジェイ・グレイドンとランディ・グッドラムの2人のユニットで、Jay and Randyの頭文字をとってJaRかな?と思います。二人が培ってきたAOR感覚をベースに、どの曲もスティーリー・ダンのエッセンスをちりばめた音楽性なのが興味深いユニットですね。この曲のギターソロでは、ジェイお得意のワイヤー・クワイアと呼ぶのかな?ギターの音を3回重ねてハモらせたフレーズが見事に決まっていて気持ち良いですよね。
JaRは新作を出すと言ってはや数年、もはや「出す出す詐欺」なんじゃないかと思えるほどですが、辛抱強く待ちたいと思います。
って、他人のこと言ってる場合じゃないですね(笑)


★Container Zero

Powder Blue Tux / – Single / 2016

 

 

 

 

 

 

 

続いてご紹介するのは、パウダー・ブルー・タックスの2016年の「Container Zero」というシングルです。パウダー・ブルー・タックスというアーティストの正体は、元々サミュエル・パーディーの片割れだったバーニー・ハーレイのソロユニットで、サミュエル時代から変わらず、いや、以前にも増してスティーリー色が濃くなった絶品ポップスを演っています。
ギターソロはまたまたジェイ・グレイドンで、ジェイ以外にも本家スティーリー・ダン周辺の人脈からピーター・アースキン、マイケル・レオンハート、エリオット・ランドール、エリオット・シャイナーなどが関わっています。
あとね、シングルをお持ちの方はジャケットのフォントをよく見てみて欲しいんですけど、これ、ドナルド・フェイゲンの『カマキリアド』のジャケのフォントと同じなんですよね。芸が細かいな〜なんて思いました。


★Peg

Steely Dan / Aja / 1977 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェイ・グレイドンの株を一気に上げたキッカケといえば、この曲。
一説によるとトム・スコット、リーリトナー、エリオット・ランドール、ロベン・フォード、デニス・ブドミール、そしてウォルター・ベッカーなど錚々たるメンツがソロにトライしてもしっくり来なかったそうですが、ジェイが一発で決めた、という逸話が有名ですよね。
このエピソードからか、2000年代以降のジェイは次世代のAORアーティストの中ではスティーリー・ダン色が強い曲のギターソロに「召喚」されている例が多いような気がします。