REST OF THE WORLD - LOST SESSIONS 1999 -

アーティスト
高橋徹也
Tetsuya Takahashi
レーベル
ヴィヴィド・サウンド
商品区分
CD
発売日
2014/07/23
品番
VSCD3131
税込価格
2,970円
ジャンル
バーコード
4540399031316
※ 先頭3桁が「200」の場合は非JANコード(転用不可)
類を見ないオリジナル楽曲と圧倒的なライヴ・パフォーマンスで、現在も進化を続ける異能のシンガーソングライター、高橋徹也。彼がメジャー・レーベル在籍時に残した二枚の名作『夜に生きるもの』『ベッドタウン』には、なんと誰も知らない続きがあった!!

楽曲リスト

DISC1

  • 1. Weather(instrumental)
  • 2. Les Vacances
  • 3. スウィング
  • 4. 意外な人
  • 5. 今年一番寒い日に
  • 6. Golden Week(instrumental)
  • 7. ストレンジャー
  • 8. One Light
  • 9. 夜明け前のブルース
  • 10. The Next Song
  • 11. 音楽(2014 new recording ver.)
  • 12. Inner Garden(instrumental)
  • 13. ユニバース~風を追い越して~
  • 14. 星の終わりに

時は1999年。茂木欣一(東京スカパラダイス・オーケストラ、フィッシュマンズ)、菊地成孔、上田禎、上田ケンジ、鹿島達也、ASA-CHANGなど、名立たるミュージシャンを迎えて行われた知られざるセッションの記録。約15年という歳月を経て、幻の未発表4thアルバム『REST OF THE WORLD』が遂に全貌を現す。


◎本人コメント

「REST OF THE WORLD」…このフレーズを最初に意識したのは、90年代当時、イタリア・プロ・サッカー・リーグSERIE Aで活躍した中田英寿選手が参加したエキシビション・マッチを観た時だろうか。それは確かチャリティーを目的とした試合で、ヨーロッパ国籍の選手だけで編成された「世界選抜チーム」と、ヨーロッパ以外の国々から選抜された「その他の世界チーム」という、ひどく差別的で一方的な価値観によるネーミングの2チームによる対戦だったと記憶している。つまりヨーロッパこそ世界。あとはそれ以外、という考え方に基づく概念。ただ当時も今も、それについてどうこう言うつもりはなく、単純に言葉の響きとして面白いなと思ったのが、この「REST OF THE WORLD」というフレーズだった。

ここに収められた音源は、覚えている限り1999年に行われたレコーディング・セッションで、事実上、通算4枚目のフル・アルバムとして世に出るはずだった、いわゆるお蔵入り作品である。ヴォーカル曲、インスト曲とバラエティに富んだ内容で、全曲分のトラックダウンを終え、いよいよマスタリングを残すのみ、というところでリリースが頓挫してしまった。個人的には当時所属していたレコード会社との契約解除に伴ういわく付きの作品でもあるので、正直この話題を避けてきたように思う。実際にこの音源のマスターが何処にあって誰が保管しているのかなど、当の自分ですらよくわからないまま長い年月が経過していった。

今回こうして正式にリリースの話が持ち上がり、改めて約15年振りに音源の全貌を耳にしてみると、意外なほどそれを素直に楽しめた自分がいた。「今だったらこうするのに」「これは余計だろう」という、音やアレンジに関する好みの変化は少なからず感じる。そして近年、コンスタントに作品のリリース、ライブも継続しているというささやかな自負もある。そんな充実した今、わざわざ過去の遺産をネタに商売する(笑)というのもいかがなものかと思わなかった訳でもない。ただ、それ以上にこの作品の持つ普遍性や純粋さ、そして何より愛すべき曲の数々が、自分の心を前向きに強く導いてくれた。そのことに改めて感謝したいと思う。ワインや漬け物ではないけれど、時として音楽にも必要な熟成期間というものがあるのかもしれない。

これは当時27才だった自分が、全身全霊をかけて築き上げようとした誇大な妄想とユートピアの幻想。約15年間の長きに渡り、主の帰還を待ち続けた「REST OF THE WORLD」の物語が静かに幕を開ける。今、スピーカーの向こうからから聴こえてくるその音楽に、僕はただ耳を傾けている。

ようこそ、その他の世界へ。


高橋徹也


高橋徹也本人による全曲回想録
REST OF THE WORLD Lost Sessions 1999

01. Weather
アナログ・シンセで遊んでいるうちに偶然それらしい形になって、最後は曲として成立する時がある。その典型がこの曲。気分は1977年。僕のアナログ・シンセRoland Juno-60と、上田さんのProphet 5をメインにレコーディングした。

02. Les Vacances
あるライブ・リハーサルの時に、ドラマーの須貝さんが遊びで叩いていたリズム・パターンを元に着想した曲。自分の中では80'Sテイストのファンカラティーナっぽい感じ。コーラスの重ね方については結構気合い入れて考えたつもり。ワサワサ言ってる感じ。ちなみに須貝さんは自分で考えたリズム・パターンにも関わらず、レコーディングの時とても苦労していた。「俺、こんな難しいことやってたかな?」とか言いつつ。白昼夢の世界旅行みたいな歌詞は、デヴィッド・ボウイのアルバム「LODGER(’79)」を意識していたと思う。

03. スウィング
自宅で作ったデモテープではもう少しトッド・ラングレンっぽい箱庭感覚のポップ・ソングだった。スタジオでアレンジしていくうちに、上田さんの弾くエレピのコード・リフ、関口さんのギター・リード・メロディが生まれ、また違った形の洗練されたポップスへと変化したと思う。メロディや曲調はポップだけど、歌詞をよく読むと意外なほどシリアス、というトリックは、ポップ・ソングの持つひとつの魅力だと思う。

04. 意外な人
当時、フィッシュマンズのサポート・ギタリストだった関口道生さんの紹介で知り合うことができたドラマーの茂木欣一さん。この曲を茂木さんに叩いて貰えたのは今振り返っても感慨深いものがある。茂木さんもこのアルバムのレコーディングのことを気にかけてくださっていたようで、今回のリリースに際しても嬉しい言葉をいただきました。それと今作で大活躍してくれた古くからの友人、小佐野直樹さんによるシンセ・オルガン・ベースは、自分にとってとても懐かしい感じがする響き。

05. 今年一番寒い日に
意外にも自分の中でジョン・レノンぽいイメージがある曲。晩年「ダブル・ファンタジー」の頃だろうか。昨年、歌詞を少し書き直して久々にライブでこの曲を歌ってみたけど、それが良いのか悪いのかよくわからなかった(笑)タイトルはとても気に入っている。世界の終わりとたった一人の少女、という心象風景は、昔から自分の頭の中にある終末のイメージ。理由は不明。

06. Golden Week
スタジオでの空き時間に誰からともなく楽器を手に遊び始めて、それがそのまま録音されたという曲。上田さん談によると2テイク録音して雰囲気の良かった方が今回のOKテイクとのこと。自分には全く記憶がない。メインとなるカリンバのメロディは上田さんによるもの。自分と小佐野さんがゆるい感じでパーカッションを叩いている。この曲調からは想像できないくらい殺伐とした緊張の続くレコーディングだっので、もう逃げ出したい!という気持ちが込められたタイトル。

07. ストレンジャー
最初に「1982年」「サンバの響くスペイン」という漠然としたキーワードがあって、そこからどんどんイメージが溢れ出た曲。ある意味、自分が常に抱えている「他所者感」を如実に体現した曲かもしれない。子供の頃によく聞かされた、世の中には自分と同じ人間がもう一人いて、出会ってしまったら最後、死んでしまう、というファンタジーを、ずっと信じていたからこそ生まれた曲かもしれない。小佐野さんのディレイ・ギター、茂木さんのドラムが疾走感にあふれていてかっこいい。

08. One Light
この録音をしたこと自体、まったく記憶になかったので、音源を聴いた時は我ながら驚いた。ロイ・エアーズなどにインスパイアされたインスト曲で、自宅デモの音をそのまま使っているところもある。『REFLECTIONS('03)』で再録したヴァージョンは、ウッドベースを使ったジャジーなテイストが魅力。ぜひ併せて聴き比べて欲しい。

09. 夜明け前のブルース
今考えると異種格闘技のような豪華セッション。これはバックの演奏、僕のヴォーカル含めて一発録り。途中の劇的に変わる間奏部分だけ後で録音して編集した。名だたる個性的なプレイヤーをバックに歌えて緊張したし楽しかった。後の『ある種の熱('05)』で再録。そちらも必聴。

10. The Next Song
元々「ポスト・モダン・ミュージック」という仮タイトルだけが付いていて、珍しくヴォーカル録音直前まで歌詞がなかった曲。普段、その段階まで歌詞が決まっていないというのは滅多にないことで、とても苦労した覚えがある。サウンド的には80'Sニューウェーブを強く意識していて、ギター録音に使用したコーラス・エフェクターとアンプは、どちらも80年代製のYAMAHA国産もの。いわゆるジャパン・ヴィンテージ。

11. 音楽(2014 new recording ver.)
今回のリリースにあたって新たにレコーディングした一曲。古い曲ではあるけれど、あまりライブで取り上げることもなかったので、とても新鮮な気持ちで歌うことができた。ほとんどワンテイク。タイトル通り『音楽』というテーマを扱っているだけに、自分と音楽の距離感が少なからず歌詞の中に見え隠れしているのかもしれない。

12. Inner Garden
これは1998年にリリースされたマキシ・シングル『愛の言葉』収録のインスト曲『The Garden』に対するオマージュ。より内省的なヴァージョンという位置付け。自宅で遊び半分レコーディングしたオート・アルペジエイターのループに、小佐野さんがアンビエントなギターをダビングしてくれた。今作のクライマックス曲『ユニバース』に向かう直前の、一瞬の静けさというイメージ。

13. ユニバース -風を追い越して-
自分が作曲した曲の中でも非常に良くできたと思える大好きな曲。長く音楽と向き合ってきた中で、こういう曲を残せて良かったと思う。お聴きの通り10分を超える長尺で、本編、エンディング「原始」、エンディング「未来」という三つのパートで構成されている。こうして言葉にしてしまうとチープなプログレみたいだけど、15年前の自分が考えていたことだから仕方ない。ちなみに今回のリリースにあたって古い歌詞ノートを見直した時、そこにサブタイトル「風を追い越して」というフレーズが記されていたので、今回はオリジナル・タイトル表記を採用した。

14. 星の終わりに
自分が作る曲の中に、私的な価値観や哲学のようなものをストレートに投影させることはあまりない。それは自分にとってのささやかなこだわりで、音楽ってのはそういうものだと思っている節もある。つまり音楽とは他者にとって存在するもので、自分ではない誰かが、聴いて、感じてくれた時にこそ音楽たり得るのではないかと思っている。うまく言えないけれど。そんな自分にしては珍しく、この曲は自分の素直な想いや死生観を綴ったものかもしれない。そういう意味においても他にはない特別な曲だと思う。

ディスコグラフィー