Blog by 大貫憲章

聴きました。オープニングからちょい哀愁ある…

 このVividというメーカーが、ほかのレコード会社と大きく違うのは、そこにたくさんのぼくの友人や知り合いが働いている、ということ。そうなんです。単にぼくの個人的な問題なんです。

 でも、これが案外今となっては重要で、昔のようにレコード会社が、それも洋楽ロックを扱う会社が数社、という時代であれば、それこそ、ほとんどどの会社にも仲のいい知り合いや仲間と言ってもいい人たちが多くいました。

 それが、この20年くらいで、もっと言えば、わずかここ数年で様子がガラリ一変して、いわゆるメジャーといわれた昔からの数社が、どんどん変質して、元々が外資系だったこともあり、リストラなどで整理統合あるいは縮小して行き、その代わりに、たくさんのインディーなレコード会社が生まれたわけです。

 だから、自然とぼくの知らない会社も出て来たし、当然、会わない人たちも増えて来たし、なんだか、とてもこの世界の居心地が良くなくなった印象が、正直してます。

 これも「時代」の流れというヤツなんでしょうが、そういうものに「棹さす」のがぼくの性分つーか、ま「俺流」なんで、いろいろ悶着もあります。

 Vividの人たちも全員知り合いではないけど、主な人は社長さん始め懇意にさせてもらってますから、話がしやすいし、考え方もおよその見当くらいつきます。だから、仕事もやりやすいっていうことです。
 今回、その中のひとりムッちゃんこと忍'zのムツミくんからサンプルいただき、そのCDに付箋紙があり、大きくこう書かれていました。「オオヌキさん!おつかれっス こんなん出ましたァ〜!」。かなりなアバウトさ。でも、それで彼の愛がぼくには十分伝わったんです。

 そのCDがここにある、ROCK TIGERSの『ROCK'N'ROLL
LICENCE』EASTERN-4509。

ジャケは微妙で、阪神タイガースのフラッグみたいな横線模様が韓国旗のようにデザインされ、虎の絵が真ん中にあり、おまけに韓寅というロゴも。
ムッちゃんの得意はロカビリー&サイコビリーですから、このバンドもそういう類いのモノだろうと、やすやすと推察出来たんです。しかし、韓国のロックに、ぼくは馴染みがほとんどないし、事情もまるで知りません。ユーヤさんの年末の「New Year's World Rock Fes」でテレビで韓国での様子を見るくらい
だったりです。

 長いけど、後少し辛抱して下さいね。

 で、とにかくCD聴きました。オープニングからちょい哀愁あるリバーブ気味のギターリフが、「おっ?コレは!!」と気持ちをアゲてくれます。ベースがストレイ・キャッツの「ランブル・イン・ブライトン」だぞ、とか全体はクラッシュもやった「ブランド・ニュー・キャデラック」風味かな?などと思いつつ、その素直なポップ&キャッチーなサウンド・アプローチとツボを押さえた演奏、さらにはバンドの看板娘ベルベット・ジーナちゃんの「おきゃん」な歌声に時間の経つのも忘れて、全16曲スィ〜〜ッと聴き終えてしまいました。
 CD帯コメはムっちゃんが書いたんだろうけど、まさしく「往年のジャパニーズ・ロカビリー・テイストにワンダ・ジャクソンにメロディックなサイコビリー・フレイヴァーをシェイクし、ドイツのラフネックスや日本のキャロルの哀愁ただようメロディーラインをフィーチャリングした唯一無二のオリジナル・コリアン・サウンド!」というコメント通りな、言葉の違いも何も気にならないどころか、そうねぇ、昭和な日本の歌謡フォークの香りさえほのかに感じさせる、違和感のない音楽性に
、正直ぼくは驚き、戸惑ってます。

 日本で活躍している韓国産のK-POPというのと全然違う、キチンとロックなスタイルを踏襲した音楽は、それでも、同じ東洋の片隅の国同士の波長をシンクロさせるに十分な馴染みやすもあり、素敵です。
 誤解を恐れずに言うなら、ぼくが初めて欧陽菲菲 の歌を聴いた時のように、エキサイティングで楽しいものが、ここにありました。

 ムっちゃん、いいバンド教えてくれてサンキュー!ニンジャマンズも、或いは柳家睦ソロも頑張って下さい。そして、またお便り付けてサンプル届けてね。