Blog by 大貫憲章

今さらでもThe Beatlesなんだな

 12月になると、というより、この時期になると毎年何かとビートルズの話題が出る。

 今年も、例の埼玉のスーパー・アリーナにあった「ジョン・レノン・ミュージアム」の閉館騒動に始まり、先日サントラも発売になったジョンの若い時期の、つまりビートルズでチョー人気者になる前の頃のストーリーを描いた映画「ノーウエア・ボーイ〜ひとりぼっちのあいつ」がこの5日から日本でも公開されたり、あの「Rockin' On」がビートルズの特集本を作ったりと、まぁ、本当に毎年よくこんなに話題があるよな?ってくらい、まるで年中行事の一環でもあるみたいに、いろいろ出て来る。

 それもこれも、やっぱりビートルズだからこそ、のことで、ライバルとされているThe Rolling Stonesも、ここまでには至らない。好き嫌いはともかく、ビートルズは、まさに「永遠に不滅」ってところなんだろうな。自分の頃はありえない話だったが、今ではビートルズの曲や話題が義務教育の音楽科目に出て来るというんだから、それだけ見ても、時代は変わった。

 そんな折りに、またぞろ、新しい音源が出た。もちろん、新しいとは言っても、新作というのではなく、今まで出ていたものが化粧直しされて、つまりはリイシューされた、ということだけど。それが、いわゆる「赤盤」「青盤」とファンの間で親しみを込めて呼ばれているベスト盤で、この正式名称は『 The Beatles / 1962-1966』(これが通称「赤盤」)

と『 The Beatles/ 1967-1970』(これが青盤)。

 写真を見れば一目瞭然、ジャケットが赤い方が赤盤、青いのが青盤。実に分かりやすい。同じようなデザインだが、当然使われている写真は違う。赤のにはデビュー当初の初々しい写真が、青にはすっかり貫禄のついた写真が、それぞれ使用されている。タイトルを見なくても、中身がどういうものか、おおよその見当くらいはつく格好となっているのだ。

 国内盤の解説も新たになり、もちろん最新リマスター盤である。そして、なによりこれが画期的なのは、その価格。2枚組なのに2600円というお値打ち価格なのだ。解説、歌詞対訳も付いてこの値段なら「安い!」と断言していい。

 CDが売れないと言われて久しいこの頃だが、アイテムがビートルズで、しかも内容が2枚組のベストで解説までついてるとなれば、ほぼ1枚の値段なのだから、ついつい手が出る、というムキもいるだろう。ぼくは、メーカーをせっついて「サンプル盤よろしくです!」と言い続けてたから、いただきましたが、仮にサンプル出せません、と断られたとしても、これなら買いますね。(しかし、最近はメーカーがサンプル盤を作らないとか、数量規制、送り先規制など、「経費削減」とかで以前のように湯水のごとくサンプル出しまくることはピタリとなくなりました。極端なくらいに)
 このビートルズの素晴らしい音楽遺産とも言うべきものが、何故今のタイミングで発売になったのかは分からないが、理由はどうあれ、音楽ファンにとり嬉しいプレゼントであることに変わりはない。

 DLばかりしてると確実にアタマが悪くなるんで、こういう機会にちゃんと「作品」としてのアルバムをキチンと1枚通して聴いてみて欲しい。ベスト盤とはいえ、そうすることによって、単なる「いい曲」の寄せ集めだけではない、音楽の連鎖、アーティストの真実とかいうものが感じ取れるはず。そこまで行かないと、音楽ファンなんて言えないし、言って欲しくもない。カタいこと言うべき時もあるのだ。